恥の多い生涯を送って来ました。
言わずと知れた太宰治の名著「人間失格」。太宰自身の生き様を色濃く反映したと言われている本書は上の書き出しから始まる。
主人公、大庭葉蔵は周囲の前ではおどけた顔を見せ、本当の自分を誰にもさらけ出す事の出来ない男。自分を偽り、他人を欺き、過ちを犯し、ついには「人間、失格」の判定を自らに下す。
太宰がこのような人生を歩み最後は入水自殺を図ったこと、それよりもこの小説が1948年の発行後未だに名著として受け継がれ、映画化までされていることが凄いと思う。
即ち、この暗澹とした小説に深い共感や衝撃を受ける読者がそれだけ多いということ。
人間誰しも内面には闇の部分を抱えていると思う。それを普段表出することができないから、このような小説に救いを求めるのかもしれない。