30 Jun 2012

TOEFL vs IELTS

今月に受けたIELTSの結果が返ってきました。

TOEFLは2回受けたものの、120点満点中100程度と海外の大学院でギリギリ足切りにならない程度しか点数が取れず、独学でのスコアアップに限界を感じていました(特にSpeaking)。
そんな時、こちらのブログを発見。どうやらIELTSの方が対策が簡単そう・・ということでIELTSに乗り換えてみたところ、結果はOverall 8 (スコアは1から9のバンドで示されます)とあっさり目標に到達。
では、なぜIELTSの方が良いスコアが取りやすいのか?検討してみたいと思います。

まず、各試験内容の構成は下記の通り(一般的なIELTS AcademicとTOEFL iBTを比較)

IELTS Academic
TOEFL iBT
Listening
試験時間
30
60 100
問題数
40 問程度
30 問~ 36 問程度
試験内容
4 Section から構成
Section 1:
日常的な会話
Section 2:
日常にある説明
Section 3:
学術的な会話
Section 4:
学術的な講義
2 Section から構成
Section 1:
学術的な会話
Section 2:
学術的な講義
Reading
試験時間
60
60 100
問題数
40
36 問~ 70 問程度
試験内容
3 つのパッセージが出題
全て学術的な内容
1
パッセージ 850 字程度
3 5 つのパッセージが出題
全て学術的な内容
1
パッセージ 600 700 字程度
Writing
試験時間
60
60
問題数
2
2
試験内容
2 Task から構成
Task 1:
図や表、グラフ解説
(
20 150 語以上 )
Task 2:
主観の意見
(
40 250 語以上 )
2 Task から構成
Task 1: Independent Task
(
30 300 語程度 )
Task 2: Integrated Task
(
20 150 225 )
Speaking
試験時間
15
30
問題数
3
6
試験内容
Part 1: 自己紹介・挨拶
Part 2:
スピーチ
Part 3:
ディスカッション
Part 1: Independent Task
Part 2: Integrated Task

上記を基に、試験結果に影響する大きな違いを纏めてみました。

①試験時間
IELTSは全体で3時間以下なのに対してTOEFLは4時間以上。iBTであれば長時間パソコンに向かい合う必要があるので、相当な集中力が必要です。(IELTSは全て手書きで回答)

②各セクションの容易さ
Listening
IELTS:日常会話の比率が多く出てくる語彙も中学・高校レベル。また、回答すべき部分も数値や2-3の単語など平易。(但し、手書きで回答するので時制や複数形などの小さいミスもしやすい)
TOEFL:学生の会話、講義など全て学術的な内容。回答の選択肢も長い文章+語彙は大学レベル。
Reading
内容のレベルや文章量にはさほど差がないものの・・・
IELTS:紙ベースで読みやすい(人によるか?)
TOEFL(iBTの場合):全てパソコン表示なので目が疲れるし、書き込みができない。
しかもTOEFLは出題されるパッセージが3~5と毎回数が変わる。5題出ても2つはダミーで実際に採点されるのは3題分のみだそうから、これはただの集中力の浪費になる・・・
Writing
IELTSのTask2とTOEFLのTask1についてはほぼ同様で、ある問いに対し自分の意見を述べるもの。
大きな違いはもう一つのTask。IELTSのTask1では表やグラフから情報を読み取り、変化を説明することが求められます。これについては決まった言い回しを覚えれば簡単。(こちらのブログサンプルが非常に参考になります)
一方、TOEFLではリスニングで聞き取った講義内容と短いパッセージ(200-300語)の内容を比較・検討し要約する必要があり、どちらもきちんと理解していないと文章が書けない。
Speaking
Naitiveでないと一番点数がとりづらいSpeaking。一番の違いはIELTSが実際に面接官と対面で行うのに対して、TOEFLはマイクに吹き込むという形式でしょう。
また内容もIELTSは自己紹介や身近な話題に始まり、あるトピックについて意見を述べるというものなので、発言の自由度が高い。(トピックも家族、友人、学校教育、住む場所、技術の進歩などとっつき易いものが多い。You Tubeに沢山サンプルがあります)
一方、TOEFLでは会話や講義内容を聞き取り、関連する文章の内容と織り交ぜ、自分の意見や要約をする必要があり非常に高度。リスニングでうまく聞き取れなければそもそも発言できない。

③採点方法
IELTS:4セクションの平均でOverallの点数が出る=苦手なセクションがあっても他のセクションで挽回できる
TOEFL:各セクションの点数(満点30点)の合計が全体の点数となる=点数をあげるには全てのセクションで良い点を取る必要がある。

④試験管が英語で説明してくれる
試験会場によるかと思いますが、イスタンブールで受験した限りTOEFLは試験会場での説明や注意は全てトルコ語で行われたのに対し、IELTS初めから全て英語だったので、集中しやすかったです。(日本では日本語なのかなぁ?)
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勿論、IELTSは全ての大学・大学院が採用しているわけではないですが、最近は米国の大学もかなりIELTSの点数を認めている様子。(IELTSのウェブサイトによると米国でも3,000の教育機関が認めているそう)
しかも、大学によってはTOEFLとIELTSの要求水準が大分異なることが多い。MBAや大学院留学を考えている人であれば、アゴス・ジャパンのサイトから要求事項の一覧が見られます。
まずはクライテリアを確認し自分に合った試験を受けることが重要かと思います。
個人的には、絶対IELTSがおススメです。

29 Jun 2012

欧州のステレオタイプ

ちょっと前の記事ですがThe Economistに面白い調査が紹介されてました。

"Stereotypes of Europe"、即ちEUの国々がお互いにどういう印象をもっているか、という調査。

調査はEUの8か国(英国、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、ギリシャ、ポーランド、チェコ)の人々に対して「最も勤勉である・ない国は?」「最も汚職がある・ない国は?」という質問がなされたもの。

結果は下記の通りで、ギリシャ以外の全ての国がドイツを最も勤勉だと思ってるそう。
当のギリシャは自国が一番勤勉だと思っている・・・。

ドイツは全ての国から汚職が少ないと見做されているとは、本当にEUの優等生なんだなーと思います。
一方で、ポーランドとチェコは(他国にはそう思われていないのに)自国の汚職を最も深刻だと考えているあたり、国民性が表れているのでしょう。確かに、仕事やプライベートで関わるポーランド人、チェコ人はラテン系民族とは違って自己主張が強くなく、謙遜する日本人の性格に近い気がします。(人によるだろうけど)



ちなみに、記事でも紹介されている通り、OECDの調査によるとギリシャの労働時間は欧州各国の中では断トツで長いそうです。これはちょっと驚き。(一位の韓国、二位のチリに続き三番手)まぁそれだけ労働生産性が低いということなのでしょうが・・・。
この調査結果によると、日本は34か国中15位と労働時間はそれほど長くないようですね。トルコより短いというのは意外な事実。

23 Jun 2012

「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」

アメリカ同時多発テロで失われた父の謎を追い求める息子。
そんな息子を見守る母。
そして道中で出会う様々な人々。

テロを扱った映画は多いものの、本作は変わった視点から人との絆の大切さを教えてくれる。

とっても暖かい映画でした。

16 Jun 2012

幸せを追及しましょう

Chikirinブログの大橋巨泉か森光子かというエントリー

人により好きなこと・嫌いなこと・満足すること・避けたいこと etcは違うので、「自分は何を求めているのか」「どんな人生を歩みたいのか」を意識することはとっても大事、という内容。

これ、基本的なことでありながら非常に難しいもの。特に、良い学校を出て家族や社会の高い期待を集めるほど、皆がよいと思う人生が自分にとってもよいものと錯覚してしまうと思う。

もちろん、周りと同じように官僚になったり大企業に勤めたりして、それで満足できればそれは素晴らしいと思う。しかし、それで少しでも不安や物足りなさを感じたら、それは他人の人生を生きているに過ぎない。

では、特にキャリアという意味において人生をどのように選択していけばいいのか?

Harvard Business Reviewのブログにおける「Embracing Risk in Career Decisions」(キャリア選択におけるリスクを受け止める)というエントリーが参考になりそうです。

人は一般的にキャリアを構築するに当たり、将来性や同僚との関係、企業の安定性など様々なリスクをいかに少なくしようかを考慮します。
しかし、それらリスクのコントロール以上に大事になるのが次の2つの要素。

①幸福度が高まるか?(Happiness Criteria)その選択がどの程度人生における幸福度を上昇させるか?もしくは長期的な満足度を保証するか?
例えば、昇進により給料アップが見込めたとしても、それが転勤を伴い愛する家族と離れ離れになる場合は、その選択が幸せをもたらすとはいえない。


②新たな環境に適応できるか?(The attitude factor):新たな選択に伴う環境の変化、新たな人々との出会い、予想しない出来事に柔軟に対応し、その機会を最大限生かせるか?
幸せを重要視することは必ずしもキャリアアップを諦めるということではない。例え周囲に反対されてとしても、自分の選択を信じそれに向かい前向きな態度を維持することが大切。

即ち、キャリア構築においてはいかに「リスクを減らすか」よりも、「幸せを増やす」ことを考えることが重要、とのこと。

これは人生においても同じだと思います。
将来への不安や自分の弱点などネガティブな要素だけに目を向けるのではなく、いかにポジティブな要素を増やし、自分が心地よく幸せな人生を歩めるか?を追及して生きるのが人間のあるべき姿でしょう。

その選択の際には、Chikirinブログで言われているように「働かない」選択肢も十分にアリで、他にも「貧しくてもアーティストを目指したい」「投資銀行でがっちり稼ぎを得たい」「主婦として家族を支えたい」などなど、人それぞれの趣向があるはずです。
一番悲しいのは他人の趣向に合わせてしまう人生でしょう。

ふと、思うこと

東京に20年くらい暮らした後、今イスタンブールに引っ越して切に感じること。

東京では自分の人生が点に納められているような気がした。
人間社会の中の一つの点。その点の中で周囲と関わり、それに適応できない場合は排除されるか、自ら退くか。
点の周りには人間社会で生きていくための全てのものが揃っている一方で、時としてとても窮屈だった。

一方、イスタンブールでは日々の生活が線になった。
太陽、海、緑に囲まれた生活環境と、古代から人類が築いた悠久の歴史と文化。
それらに支えられた自分の人生は、これまでの、そしてこれからの地球の歴史の流れのたった一部であることを思い知らされる。
そんな視点を持つと、毎日の下らない悩みなんてどうでもよくなり、「人生の目的は生きることなのだ」と思えるようになった。

どちらが好みかは人による。

でも、自分が一番フィットする場所を選んで生きることが一番大切なんだと思う。

3 Jun 2012

トルコという国について



トルコでの生活も1年と2か月が経ち、この国の色々な特性も見えてきました。

世界観光機関のデータによると、2010年の外国人訪問者ランキングでは7位にランクイン(ちなみにトップ3はフランス、米国、中国)。
日本人にとっても観光地として人気であり、訪れた人は皆良い印象を持って帰るのではないでしょうか。

しかし、旅行者にはなかなか見えづらいトルコの側面もたくさんあります。日本や他国と比べ、いくつか際立っている点を挙げてみます。

①家族の絆が強い
欧米や日本に比べ、家族・親族との繋がりが強く特別な理由がない限り子供は結婚するまで実家暮らしが多いです。(宗教や伝統的価値観に基づき、婚前の同棲を良しとしない家庭も多い)
職場から(特に緊急の用事がなくとも))親に電話をすることは日常茶飯事。
息子のデート中に母親が電話で「夜ご飯どうするの?」なんて聞いてきてもマザコンだなんて思っちゃいけません。
それくらい、家族のコミュニケーションが密なのです。

②とにかくやじうま
男女関わらず、おしゃべりやゴシップ、噂話が大好きなトルコ人。
女性陣は誰が誰と別れた・誰の新居の家具はどうだった・あのドラマの展開はこうなるはず等々、一日中お喋りに花が咲きます。
男性もビジネス・プライベート関わらず、チャイを片手に話し出したら止まりません。

これはやじうま根性、というか他人に対する好奇心がとても強いからだと思います。
例えば、初対面の人に「給料はいくら?」と聞かれることや、タクシーの運転手に「結婚してる?」と聞かれることはしょっちゅうです。
また、若いアジア人女性というだけで街中でジロジロ凝視されることなんて毎日です。

日本では例えば黒人の方が電車に乗っていてパッと見ることはあるかと思いますが、そのあとジーっと見るのは失礼にあたるかと思います。
しかし、トルコ人は自分の好奇心を隠すということを知らず(笑)、毎日近くを通る店の店員でさえ、私が通ると火星人到来!かのような顔でこちらを見てきます。それくらい、アジア人女性という異質なものに対する興味があるのでしょう。。

③誰にでも話しかける
日本で外国人が一人地図を手に持ち周りをきょろきょろ見ていたら声を掛けるでしょうか?言葉の問題もあり、あまり自分から声を掛ける人は少ないと思います。
しかし、トルコでは確実に誰かが話し掛けてきます。英語が分からなくったって、トルコ語でなんとか助けようと色々教えてくれます。
同じように、知らない人どうし何かを尋ねたり教え合うのはとても一般的。
例えば、家電量販店でおじさんに「このポット、白と黒どっちがいいかな?」なんて聞かれることもあります。(何とも答えづらいですが…)

日本で知らない人にいきなり話しかけたらギョッとされることが多いのではないでしょうか?
この助け合いの精神は、個人主義が進んだ先進諸国にとってはとても興味深いと思います。

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以上のような特性を総合すると、トルコ人はラテン気質に韓国人の要素が入ったようなイメージではないでしょうか。

他国に比べればスリやぼったくりも少なく、人々もフレンドリー(時におせっかい)なトルコ人。
時代と共にイスラム的な慣習・価値観がかなり薄れつつあるようですが、今後10年、20年で更に国としての国際的地位が上昇する過程で彼らがどのように変わっていくのか、非常に楽しみです。

1 Jun 2012

体験を買う旅

友人に紹介されて知ったFindJPNというサービス。

"Travelling is Meeting Local"(旅することは現地の人・ものに出会うこと)という理念のもと、同サービスでは日本を訪れた外国人が現地の人と知り合い様々な体験を共有する機会を提供しています。

FindJPN

こちらのサイトによると、創業者の方が本サービスを始めたきっかけは下記の通り。

僕がFindJPNをはじめようと思ったきっかけは、前職を辞めたときに2ヶ月間旅行したインドでの経験です。 
インドのダラムサラというダライ・ラマが住んでいる街を訪れたのですが、街の至る所に旅行者向けのチラシが貼ってありました。その張り紙を見て、タイマッサージのレッスンをインド人から受けて、そこで3年間瞑想と修行をしていたアメリカ人と知り合い、彼と伴に旅を始め、異文化の楽しさと、ちょっとしたキッカケで旅が格段に面白くなるという貴重な原体験をさせてもらいました。 
日本に帰ってきて、外壁を見回しても旅行者向けの張り紙はもちろんありません。日本で、外国人旅行者が旅を深めるのは、難しいだろうなと漠然と思っていました。 
その後、Airbnbという「空室のマッチングサイト」で自分の家のリビングに旅行者を泊めはじめました。旅行者に直に接してきて分かったことは、彼らは現地の生の情報が欲しかったり、どうやって楽しんだらいいか分からない人が圧倒的に多いということです。ガイドブックを持ってきているにもかかわらず、ほぼすべての人に「どこに行ったらいい?」と聞かれ、インドから帰ってきた時に感じていた漠然とした思いが確信に変わりました。 
その後、実際に自分で彼らをいろんな場所や体験に連れていき、それを事業にしようと思いはじめました。この事業を通じて、外国人旅行者だけでなく、より多くの日本人に異文化の楽しさを伝えられれば幸いです。
旅の醍醐味は単に色々な場所を訪れることだけではなく、その土地を知る人と交流し、地元の伝統文化や流行を学ぶことにもあると思います。
このサービスで提供されている体験は、お寿司作り、茶道、剣道、ホームステイから秋葉原のツアーやメイド喫茶体験など様々。これら体験を通じ、日本という国をより深く理解しリアルに感じてもらうことが本サービスの目的とのこと。
また、FindJPNではサポーターとして外国人と一緒に買い物に同行したり種々体験をサポートするボランティアも募集しているそうです。日本にいながら国際交流するだけでなく、日本人にとっても自国の文化を再発見する良い機会になるのではないでしょうか?