29 Jan 2012

やる気の科学

米国の作家でアル・ゴア元副大統領のスピーチ・ライターをも務めたDaniel Pink氏によるTED動画"Surprising science of motivation"






















彼は、人のやる気が外的要因(金銭的報酬や賞罰)に左右されるという従来の科学的説明が実際のビジネスには適用不可能となっていると主張。代わりに、人のパフォーマンスは内的な誘引(intrinsic drive)により決定され、具体的には以下3点が人間のモチベーションを高める、と説明。
①Autonomy:自主性
②Mastery:成長
③Purpose:目的

経済規模が比較的小さく人々が貧困や失業に苦しんでいる状態では、生きるために必要となる労働の対価が人々を仕事に向かわせる最大のインセンティブとなるのでしょう。
しかし、ある程度の経済的豊かさを得た後は、人は人生の大半の時間をつぎ込む仕事に自己実現を求めるようになるため(下記参照)、Pink氏が言うように雇用側はそれ以上の誘引(エキサイティングな仕事内容、心地よい職場環境、柔軟な労働形態を許すシステムなど)を整えることが必要になるのだと思います。

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28 Jan 2012

「リーダーシップでいちばん大切なこと」

酒井穣氏の「リーダーシップでいちばん大切なこと」 を完読。

どんな組織であれ、個人のリーダーシップが重要視される時代。
著者はリーダーシップを「孤独を受け入れ、他の誰でもない、自分自身の人生を誠実に生きる力」と定義(p.32)。
一般的にリーダーとは他者(フォロワー)を導く者と考えられがちであるけれど、著者はリーダーが率いるべきは「たった一度の人生を、自分の価値観に従って生き抜こうとする自分自身」とする。(p.34)

著者の指摘する通り、自分の本心に従って生きることはある意味で非常に難しく、孤独である。なぜなら、大人になればなる程人は大勢が持つ価値観や社会一般が良いと思う安全な道に流される傾向があるから。そして、もし自分が求めているものがそれと異なり、それに背かざるを得ない時、周囲の人を失望させ、時には変わっていると後ろ指を指されたり批判にさらされたりする。

それでも、自分の人生をどう生きるかの絵を描き、その価値観を示すこと。そしてその信念に従って生きるための努力をすること。著者の言う通り、それによってこそ本当に自分固有の人生を生きられるのだと思う。のように。

ところで、リーダーシップと聞くとつい思い出すのが尾田栄一郎氏の漫画「ONE PIECE」の主人公、ルフィ。勿論これはフィクションだけれど、どんな時も死ぬ覚悟で腹をくくり、自分の信念に向かって突き進む姿は周囲の心を揺さぶる。だからこそこれだけの人気を博しているんだと思う。

自分が人生をかけて取り組むべき課題を見つけ、それに向かって最善をつくすこと。シンプルだけれど、これが一番の人生の醍醐味なんじゃないかなぁ。


26 Jan 2012

A Year Passed...

ちょうど1年前の今日、海外駐在を言い渡された。
1年前の1月は長期出張で月の半分をバンコクで過ごし、帰国してからも入札の忙殺されていて、その矢先に全く予想していなかったトルコ駐在の話。

頭をガツンと殴られたような衝撃だった。自分にとって駐在を断る=会社を辞めるだったから、究極の選択だった。

基本的に何かを決断する時、私は誰にも相談しないで決めるけれど、今回ばかりは一人の人に相談した。その日のうちに彼にメールをしたらいつでも電話してくれと。そして翌日、その人と3時間くらい長電話。その人は来るなとも来いとも言わなかったけれど、本当に真剣に私のキャリアについて考えてくれていた。そう、その人が今の直属の上司。

結局、1週間程度で決断してと会社に言われたものを(それも結構ひどい話だけど…)、その電話の後すぐに行くって決めていた。2か月後には荷物をまとめていた。

人生本当に何が起こるかわからない。でも、どんな時でも選択に迷ったらよりcoolでexcitingな路に進むよう決めている。そうすれば絶対に間違いはないと信じてる。
そして、自分で決断を下すこと。そうすれば責任を取れるのは自分しかいないから、絶対に後悔しないように努力できる。そしてやっぱり1年経った今振り返ってみても、この決断は間違っていなかったと確信している。

さて、今年はどんな変化に遭うだろうか。今から楽しみ。

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ちなみに、ちょうどそのとき読んでいたのが、城山三郎の落日燃ゆ。第二次大戦防止に努めながらも、ただ一人の文官として東京裁判で絞首刑となった元総理、外相の広田弘毅。彼の人生は自分とはまったくかけ離れているけれど、人間がいかに運命に翻弄される小さな存在であるか、しみじみと実感したのを覚えている。

12 Jan 2012

「自分のアタマで考えよう」

月刊100万以上のページレビューを持つ、個人ブロガーちきりん氏。彼女が普段ブログで語るテーマは政治経済国際関係ビジネスキャリア等々広範囲に渡り、その独自の視点や感覚が人気になっています。そんな彼女が、そもそもどうやって情報を取り入れ、自分の思考としてアウトプットしているのか、その「思考の方法論」を解説したのが本書。


以下、備忘録まで参考になる数点を纏めました。


●「知識」と「思考」を混同してはいけない。
知識とは「過去の事実の積み重ね」及び他人の考えの結果であり、対して思考とは「未来に通用する論理の到達点」であり、知識をいったん思考の外に出した上で「自分の頭で考える」ことが重要。(P.20-21)
そして両者の最適な関係は「知識が思考の棚に格納されている」状態。即ち、日々入手する情報・知識をそれに基づいて考えたこと(思考)の棚に整理しておけば、次に関連する知識を手に入れた時、その情報の存在に気づき、その価値を判断し、有益な結論を導きだせるようになる。(P.237-P.239)


●考えるために役立つ分析手法は「縦と横の比較」。
縦=時系列比較=歴史的な視点で物事を見ること。
横=他者比較=国際的な視点で物事を見ること。
それによりある事象のあるべき姿への道筋が描けるようになる。(P.93)


●判断基準はシンプルが一番。
人が決定を下せないのは選択肢が多いからではなく、判断基準が多いから。従いまずは「目標の姿」を想定し、それを実現する為に判断基準に優先順位をつけることが重要。(理想的には2×2のマトリクスに絞り込むこと)基準をシンプルにすることで、物事の本質が見れるようになる。(P.131)


●自分なりの「フィルター」を持つこと。
与えられた既存のフィルター=選択基準に自分を合わせるのではなく、自分に必要な自分独自のフィルターを見出すこと。自分の志向は時として失敗から気づくこともあるが、いずれにせよ自分の頭で考えることが大事。
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彼女の日々のブログの内容もそうですが、一つ一つの指摘が非常に本質をついており、且つ複雑な内容もすべて簡単な例や表現を用いている点が一番の人気の秘密だと思います。
インプット・アウトプット両方の質を高めるためにも、上記点を心に留め、日々思考力の向上に努めていきたいと思います。


4 Jan 2012

原発のゆくえ


1月3日付朝日新聞にジャレド・ダイヤモンド氏のインタビューが掲載されており、原発問題について彼の見解が述べられていました。

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要旨としては
・現代文明にとって最大の脅威は環境・人口問題(詳しくは彼の著書「文明崩壊」へ)
・人は自分達の力でコントロールできないリスクを過大評価しがちであり、福島の原発事故はその典型例
・放射能が抱えるリスク(環境汚染や人体への影響)よりも、長期的な化石燃料使用によるリスク(大気汚染等)の方が大きい
・従い、文明存続のためには“現実的な”選択をする必要がある

前掲書で人類の文明崩壊の最大の理由として環境問題を指摘してきた彼だからこそ、エネルギー問題全体の中に原発を位置付け、他の化石燃料との比較により原発を擁護している点は理解できます。(もちろん、原発施設の建設場所や数量、事故を見据えた対策については熟考が必要ですが。)

また、震災後4月以降日本のメディアに触れていない私にとっては、福島の原発事故を“リスクが過大評価されがちな事故”の典型例とする彼の冷静な見方には賛成できます。(しかし、もし日本にいて、毎日災害地の映像や被害に苦しむ人々の状況を見ていたとしたら、今と同じ考えを持っていたか?は正直分かりません。それくらい映像メディアから受ける影響は良くも悪くも大きいと考えます。)

海外にいる私ができることはあまりありませんが、今後日本がどう原発及びエネルギー問題に取り組んでいくかは世界からも注目を浴びていますので、政府が市民との対話を通じ賢明な判断を下していくことを願っています。

1 Jan 2012

New Year's Resolution

ざっくばらんですが、今年の目標を。

1. 仕事:新たな路を拓く。
自分の価値基準を見極め、それに向けて努力する。年末に色々と迷いすぎて仕事を放りだしそうになったけれど、冷静に自分がどんなことを求めているのかを再考し、それに必要となる施策を取っていきたい。あえて具体的なことは書かないけれど。

2. 内面:常に心を落ち着け、平静を保てるように
割といつも肝が据わっている、(歳の割には)落ち着いていると言われるけれど、それは必死に取り乱したい感情(すごいビックリしたり落ち込んだり怒ったり…)を抑えているから。特に昨年は海外移住のストレスで情緒不安定になることが多かった。(会社の携帯を壊してしまったし…)今年はよりどしっと構え、小さなことに心惑わされず、物事を俯瞰できるような余裕を持てるようにしたいです。。。

3. 外面:引き続きジム通い。
基本的に健康に配慮した食事・生活習慣を心掛けていて、特に健康面では問題ないはず。昨年初に5kgやせると目標を立て、実際やせたかは不明だけど(体重を測っていない…)女性の場合見た目はかなり髪型や服装に左右されるという仮説に基づき(いや、これ本当にそうなんです)、体重云々ではなく筋肉の付き方や体の曲線を意識したトレーニングを維持していきたいと思います。

4. 教養:良質な読書と芸術に触れる
読書は昨年も月3~5冊くらいは読んでいたかと思うけれど、ついつい話題の新刊に目移りしがちであったので、量より質(特に古典)を優先させた読書習慣を作りたい。
芸術は特にイスタンブールに来て、文学者や翻訳家、建築家など自分とは全く違う方面で生きる人々の出会いに感化されたもの。東京では日々仕事のことばかり考えて、芸術に触れる機会が非常に少なかったけれど、こちらに来てからクラシックのコンサートや美術館・博物館に行く回数が増えた。今年はもっとそういった活動を増やし、右脳を刺激(!?)していければと。