19 Dec 2011

「ウーマンエコノミー」

・世界全体で10億人の女性が労働力に加わっている。
・高等教育における女子学生の割合は、世界で47%である。
・世界中の商品分野における消費のうち、少なくとも64%は女性によるものか、女性の影響を受けたもの。


本書(原書「Women Want More」)は上記調査データを基に、世界中で一万二千人もの女性たちにインタビューし、それぞれの家計のCFOである彼女たちの考え、ニーズ、ウォンツ、物語を分析したもの。


膨大なデータベースに基づいた本書から学べるのは、世界中どこのどんなバックグラウンドを持った女性たちでも、結局は皆似通った悩みや苦労を抱えているということ。
日々仕事に家事に趣味とやることは山積み、優先順位をつけるのに一苦労で自分のための時間がなかなか取れず、少しでも自分に代わって時間を作り出してくれる商品を探している。


女性が最も関心を示し且つ不満を持っている分野として、本書では具体的に食、フィットネス、美容、ファッション、金融サービス、医療の6項目につき考察。
例えば、食の分野では全てのライフステージにおいて女性は少し値段が高くてもより質の良いもの・体に良いものを選ぶ傾向にあり、そのための食材・調理器具などにもこだわり、且つ少しでも必要な買い物時間・調理時間が短くなることを求めている。
これら多様なニーズをうまく捉えた事例として、家庭に必要なものを全て揃え且つ低価格で提供する英テスコや、手軽で安全なオーガニックの冷凍食品を販売する米エイミーズ・キッチンなどを紹介。


後半では、世界各国の女性たちを成熟経済圏(ヨーロッパ、日本)と新興経済圏(BRICs、メキシコ、中東)に分け、それぞれの女性たちがどのようなライフスタイルを送り、どんな不満を日々感じ、どのようなことから幸福感を得ているのかを分析。
国により教育の普及度、出産・育児制度の充実度、家事負担に関する考え方、宗教的価値観は異なれど、どこの地域でも女性は自分の時間を取るために多大な苦労を強いられていることがわかる。


一方で、機会があれば女性は世界、特に他の女性に利益をもたらす製品やサービスを買おうとする傾向がある。心と体の健康を高め、環境を守り、教育を支援し、困っている人に手を差し伸べ、愛情や人とのつながりを強める、といった目的のために行動を取ることは、女性顧客を対象にする企業にとって非常に重要になるでしょう。