22 May 2012

技術を使って世界を変える

Kopernikという団体をご存知でしょうか?

2010年、中村俊裕さんという方が国連在職中に設立した、途上国に暮らす最貧層の人々の生活改善に向け現地に根差したテクノロジーを届けることを目的としたNPO団体です。

中村氏は、国連スタッフ及びマッキンゼーでの経験から従来の途上国支援に不足してる「最貧層への直接のインパクト」及び「革新的解決策」を追及し、Kopernikを設立。(中村氏の経歴はこちらに詳しいです)

彼のTED動画からも、いかに情熱と冷静さを兼ね備えた方であるかが分かるかと思います。

 
Kopernikの特徴は、「技術を持つ企業や大学」「寄付を行う出資者」「現地コーディネーター(NGO等)」をオンライン上でマッチングさせ、途上国のニーズに基づいたシンプルな製品やサービスを届けるというビジネスモデル。

公開されている年次報告書によると、2011年は23件のプロジェクトにより9か国43,000人の支援を達成。

Diamond Onlineのコラムにて中村氏が述べているように、途上国の最貧層と言われる人々が直面する主要な課題は①現金がない、②電気がない、③安全な水がない、④トイレがなく衛生状態が悪い、⑤調理の際の燃料効率が低い、⑥農業の生産性が低いの6点。

これらを解消するために届けられた技術の例としては、ソーラー補聴器、助産婦キット、クリーンな調理用コンロ等々、こちらから一覧が確認できます。

学生時代にケニアの農村で暮らした身としては、こちらのQドラムなんて本当に画期的だと思います。水道のない地域で毎日生活用水を川から運んでくるのは本当にキツい仕事。
小さい女の子でも頭にバケツを乗せて毎日水源まで何往復もし、学校に通う時間を奪われていることも多いです。
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貧困層を対象とした所謂BOPビジネスは今や一種の流行のようになっていますが、知られているものの多くが欧米のビジネススクールでケーススタディとして取り扱われているような大企業による成功例かと思います。(例えばグラミンダノンユニリーバの取組など)

その一過性の華々しさとは裏腹に、実態としては企業側で価格や技術の適合性を取れなかったり、また途上国相手に必要となる柔軟な対応ができずに、BOPビジネスに失敗した例は枚挙に暇がないのでしょう。

しかし、中村氏がこちらで述べているように、現地の制約条件に合わせ高い創造性とロースペックさを備えた製品を開発することは、本来モノづくりを得意としてきた日本企業にとって大きなチャンスとなり得ます。
ただ、日本企業に欠けているのは現地の状況を実際に自分達の目で見て実感すること。

そのためには、これまでの保守性を捨て、どんどん現地に足を運び、現地の人々と交流する中で彼らのニーズに併せたサービスを開発していくことが求められているのだと思います。